IT業界には様々なエンジニアが存在しますが、多くの場合、顧客との接点は少ないと言って良いでしょう。
従って多くの顧客はエンジニアの顔を覚えていないのが現実です。
しかしながら、エンジニアの中でも異色な職種としてCE(カスタマーエンジニア)がいます。CEは顧客に寄り添いビジネスを円滑に進めるための支援を行う専門家です。
ところが世間ではCEが何かやっているのかをご存じの方が少数派です。
そこでこの記事ではCEの概要から仕事内容、気になる年収や必要な資格までを解説します。
CE(カスタマーエンジニア)とは?
CEとは、顧客が購入した情報システムや周辺機器類の設置から保守、そして教育までを担当するエンジニアです。
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顧客が購入した情報システムや周辺機器類の設置から保守、そして教育までを担当するエンジニア
長期に渡り、顧客に接することから顧客にとってのエンジニアと言えばCEが真っ先に浮かぶ筈です。
CEは、別名でフィールドエンジニアやサービスエンジニアとも呼ばれています。
次にCEの仕事内容についてご説明します。
CE(カスタマーエンジニア)の仕事内容
IT業界で表舞台の役者に例えられる職種はSEですが、対して裏方役に例えられるのがCEです。
しかしながらCEは様々な業務に従事していますので次に主な仕事内容を3つご説明します。
機器類の設置
顧客が発注した情報システムや周辺機器類を実際に顧客のオフィスに設置して稼働できる状態にします。
システムによっては事前に顧客オフィスの空調設備や電源増設等の作業も行います。
このため、CEは電気工事に関する知識やスキルも必要となります。
導入支援
顧客のオペレーターに対してシステムの操作や定期点検等の指導もCEの仕事のひとつです。
またオペレーターからシステムの改善要望に対してSEの間に入ってシステムのソフト改修を仲介する役割も担っています。
保守/点検
顧客に納品した情報システムは家電と異なり、製品を維持するために定期的なメンテナンスが必要不可欠です。
一般的にCEは顧客と保守契約を締結して月1回程度の定期メンテナンスを実行します。
なお、大手企業の基幹システムをの納品した場合は、24時間の保守契約を結ぶケースがあります。
この際はCEが交代勤務で顧客常駐し、情報システムの稼働を監視することもあります。
CE(カスタマーエンジニア)の年収
ここでは皆さんの関心の高いCEの年収についてご説明します。
求人情報検索サービスである「求人ボックス」の調査ではCEの平均年収は523万円でした。
これに対して同社の調査ではSE(システムエンジニア)の平均年収が508万円です。
この数字を見るとSEよりCEの方が給与が高いと判断されます。
しかしながら会社規模や年齢、地域によって年収は異なります。
信頼性の高い厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると2019年度のSEの平均年収は568万円でした。
職種 | 平均年収 |
---|---|
CE | 523万円 |
SE(システムエンジニア) | ・508万円(求人ボックス) ・568万円(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」) |
CE(カスタマーエンジニア)のやりがい・魅力
これまでCEの仕事内容や年収をご説明して来ました。
つまりCEの外側から見た姿ですが次は内側の姿ということでCEのやりがいや魅力ついて解説します。
顧客から感謝される
CEは前述した通り、「裏方役」の役割を担っているため、目立つ仕事ではありませんが、顧客にとっては自社の情報システムを熟知したスペシャリストです。
従いまして顧客はCEに対して全幅の信頼を置いています。このため、CEは日々の仕事に対して感謝の言葉を掛けられることが多いです。
一般的に日常生活で感謝の言葉を掛けられることは少ないと思いますので、CEの仕事は魅力に溢れる職種と言っても過言ではありません。
自己のペースで仕事が出来る
一般の会社員はオフィスの中で殆どの時間を過ごしますが、CEは自社の仕事は殆どありません。
多くの時間は複数の顧客を訪問して現場作業となるシステム機器の点検や定期サービスを行います。
CEの多くは一人作業で作業計画も自分で立案して行動することができます。従って自己のペースで仕事をすることが可能です。
故障が解決した時の達成感がある
CEの仕事は点検や保守だけでなく、故障対応があります。故障対応とは情報システムにトラブルが発生した場合、正常に復旧させることです。
CEは発生した現象から故障原因を特定して対処を行います。時には専門領域外の処置が必要になるケースがあります。この際には専門知識のあるSEやプログラマーと連絡を取りながら処置を行います。
無事に情報システムが復旧した時には、CEならではの達成感を味わうことができます。
CE(カスタマーエンジニア)に求められるスキル
CEに求められるスキルは主に以下の3つです。
コミュニケーションスキル
CEは顧客に最も近いエンジニアとして様々な相談を受けます。従って顧客との信頼関係を獲得するため、充分な時間を掛けて話を聞くことが必要です。
特にCEは一人で5、6社の顧客を抱えてるケースが多いです。
各企業に応じてそれぞれ状況や事情が違いますので顧客に応じたやり取りが出来るコミュニケーションスキルが不可欠です。
故障診断スキル
稼働中の情報システムにトラブルが発生した場合、真っ先に出動するのがCEです。CEは現場に直行して速やかに情報システムの復旧作業を行います。
この際、CEに求められるスキルは発生している現象を元に様々な要因の中から原因を突き止めて対処する故障診断スキルです。
故障診断スキルは学問として学ぶことが難しく、個々人がこれまで体験した経験値を元に独自の方法を見出していると言って良いでしょう。
優秀なCEの場合、これまで経験したトラブルをノート等にまとめて体系化している人もいます。
英文のリーディングスキル
CEは情報システム機器やサーバー機器に加えて様々なソフトウェアを扱います。
これらの機材を扱うためには、操作マニュアルやインストールマニュアル等を読みこなす能力が必要です。
なお、該当マニュアル類は通常、英語であることが多いです。このため、英文のリーディングスキルが必要です。
CE(カスタマーエンジニア)の必要な資格
一般的にITエンジニアは仕事で必須な資格がありません。しかしながら電気や通信を取り扱うCEは業務必須な資格が存在します。
多くの企業では資格取得者に資格手当が支給されますので取得して置くことが望ましいです。
主な資格は以下の3つです。
電気工事士
電気工事士は第一種と第二種の2種類があります。
第一種は小規模の工場やビル等の電気工事を行う場合に必要な資格です。第二種資格の上位資格になります。
第二種は住宅や小規模店舗等の電気工事を行う場合に必要な資格です。
第一種 | 小規模の工場やビル等の電気工事を行う場合に必要な資格 |
第二種資格 | 住宅や小規模店舗等の電気工事を行う場合に必要な資格 |
認定電気工事従事者
認定電気工事従事者は、電圧600V以下で使用する自家用電気工作物の電気工事に必要な資格です。
本従事者の取得は認定講習を受講することで交付されます。
認定電気工事従事者講習の受講には、第二種電気工事士免状や電気主任技術者免状等の条件があります。
工事担任者
工事担当者は電気通信設備の工事を担う人向けの国家資格です。
工事の範囲に応じて5種類の試験が用意されています。具体的には第1級アナログ通信、第1級デジタル通信、第2級アナログ通信、第2級デジタル通信、総合通信となります。
総合通信は最上位資格で全ての工事に従事することが可能です。
エンジニアになるのに資格はいらない?資格取得のメリットやおすすめの国家資格を紹介
まとめ
この記事ではCEの概要から仕事内容や年収、やりがいまでを解説して来ました。
CEの仕事で最も大事なことは、顧客との信頼関係を保って行くことです。
このためには顧客とのコミュニケーションを取ることが重要ですが、CE自身の持つスキルや知識を高めて行くことも必要不可欠です。
優秀なCEはスキルや経験に裏付けられた技術力があるからこそ顧客は安心して任せることが出来るためです。
従って顧客との信頼関係を保つためにも自身の知識や能力を高める努力をしましょう。