IT関係の仕事に付きたい方。
特にゲームが好きな方にとってゲームプランナーというのは興味がわく職種だと思います。
しかしゲームプランナーの仕事内容や必要なスキル、キャリアパスはあまり知られていません。
また、どうすればなれるのか、ということも知られていません。
IT業界の仕事の中でも特殊な仕事であるゲームプランナーですが、特殊であるがゆえに慢性的な人材不足の状態が続いている職種でもあります。
そこでゲームプランナーについて詳しく解説してみましょう。
ゲームプランナーとは
ゲームプランナーとは「ゲームを企画する人」です。
つまり、どんなゲームを作るかを最初に考えるのが仕事です。
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どんなゲームを作るかを企画する仕事
ネットが普及している現代ではオンラインゲームを楽しむ人が沢山います。
また、いわゆるゲーム専用機でゲームを楽しむ人達も沢山いますしゲーム専用機もネットにつなげて遊ぶことができるようになっています。
そういったゲームが好きな人達に向けて新しいゲームを作って世に出すのがゲームプランナーの仕事です。
ゲームは決して実際の業務に役立つものではありませんが、ストレスの多い現代社会においては「ちょっとした息抜き」として多くの人が楽しんでいるもので、決して無意味なものではありません。
むしろ必要とされている、といって良いのです。
多くの人に楽しみを与えるものを作る職業、それがゲームプランナーなのです。
ゲームプランナーの仕事内容
具体的にゲームプランナーの仕事内容を順を追ってご説明しましょう。
新規ゲームの企画立案
まず最初に「どんなゲームを作るか」を考え企画書にまとめます。
企画にあたっては、今、流行っているゲームを把握、分析し具体的な市場のニーズを理解しておく必要があります。
またプロデューサーやディレクターの意見も聞く必要があります。
そのゲームの概要、コンセプト、テーマ、世界観、キャラクターイメージなど具体的に考え企画書にまとめます。
- 流行っているゲームの調査・分析
- 市場ニーズの理解
- 意見交換
- 概要、コンセプト、テーマ、世界観、キャラクターイメージなどの具現化
この作業はゲームプランナーにとって最も重要な作業になります。
なぜなら「多くの人がプレイして楽しい、面白いと感じてくれるものでなければならない」からです。
そのためには「何を楽しいと感じてくれるのか、面白いと思ってくれるのか」をしっかりと分析調査しておく必要があります。
ゲームを作るプロジェクトというのは業務システムを作るプロジェクトと違い顧客の要望を受けて作るものではなく、逆に顧客の需要を喚起するものでなくてはならないのです。
ここがゲームプランナーの仕事の一番、大変なところであり、かつ面白いところでもあります。
この新しい企画が市場に受け入れられれば会社は急成長することもあるからです。
現代ではゲームを作るプロジェクトにかかる費用は一本、何億円とかかった昔に比べれば、
ずっと安く作ることが出来ます。
その分、リスクは低くなっていますが、やはり「当たるか、当たらないか」が問題で、それは全てゲームプランナーの作る企画次第なのです。
企画のプレゼンテーション
企画書が出来上がったら社内でプレゼンテーションを行います。
このプレゼンテーションを通らなければ開発許可は出ませんのでゲームプランナーは、そのゲームのどこが面白いのか、楽しいのか、をしっかりと説明する必要があります。
そして、このプレゼンテーションでの説明は論理的でなければなりません。
「面白い」とか「楽しい」を論理的に説明することは難しそうですが、市場のニーズがしっかりと分析出来ていれば、論理的に説明することは十分に可能です。
ゲーム企画のプレゼンテーションでは、プレゼンテーションを受ける側の人達が必ずしも
「ゲームが好き」であるとは限りません。
またゲーム好きであっても、それぞれの好み、というものがあるので感性に訴えるようなプレゼンテーションでは通じません。
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市場のニーズを分析のもと、説明する
あくまで「論理的に説明する」ことが非常に重要となります。
製作準備1-仕様書の作成
企画が通ったら製作準備に入りますが、まずゲームプランナーは、そのゲームの内容を製作者に正確に伝えるために仕様書を作成します。
企画の段階で作ったゲームの概要、コンセプト、テーマ、世界観、キャラクターイメージ等を、より具体的にする作業です。
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企画の段階で作ったゲームの概要、コンセプト、テーマ、世界観、キャラクターイメージ等を、より具体的にする作業
具体的なストーリー展開、登場するキャラクター、背景のイメージやレイアウト、BGMなども全て仕様書にまとめ全体の設計図を作り上げる作業です。
製作準備2-必要な人員の確保とスケジュールの作成
これはプロデューサーやディレクターが行うことが多いですが、ゲームプランナーも加わります。
何故なら、そのゲームの開発規模を最も熟知しているのはゲームプランナーだからです。
規模により確保すべき人員数やスケジュールは変わりますし、確保すべき人材もゲームプランナーの考えている内容が作れる人材でなければならないからです。
特にキャラクターデザインはデザイナーにより作風が違うのでゲームプランナーが求めるキャラクターがデザインできる人材を確保する必要がありますしBGMもゲームプランナーが考えているサウンドを作れる人材でなければならないからです。
現在ではゲームに使用される音楽やセリフはプロの作曲家や声優さんに依頼するケースもあり、そういった場合に相手にこちらの希望を伝えるのもゲームプランナーの仕事です。
製作進行管理
人材が揃い、スケジュールも決まったら、いよいよ開発開始です。
開発のメインとなるのはゲームを動かすプログラムを作るプログラマーです。
ゲームプランナーは自分ではプログラムは作りません。
もちろん、作れるに越したことはありませんがゲームプランナーには別の仕事があるのです。
それは進行管理です。
実際にプログラムを作っていくと細かい点でどうすれば良いか?といった質問が必ず出てきます。
そして、それに答えるのはゲームプランナーの仕事です。
またデザイナーの作ったキャラクターや図柄、背景をチェックしたり、上がってきたBGMや効果音、セリフなどをチェックするのもゲームプランナーの仕事です。
分析と運用
出来上がったゲームが発売・運用され始めたら、その結果を分析するのもゲームプランナーの仕事です。
ユーザーの反応を見て改善点を分析したり、ソーシャルゲームでは新しいイベントを追加したり、ユーザーの意見を参考にして改善を行ったりします。
またオンラインゲームなどではユーザーが快適に楽しめるように環境を整えたりもします。
そして、これらの結果を次回のゲームプランを考える時に生かしていくのです。
ゲームプランナーの年収
ゲームプランナーの年収は平均すると未経験者で250~350万円、経験者でも350~500万円となっています。
経験の有無 | 平均年収 |
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未経験者 | 250~350万円 |
経験者 | 350~500万 |
しかし実績によっては1000万を超えたり、臨時ボーナスが支給されることもあります。
つまり実力次第、結果次第なのです。
経験年数が長くてもヒット作が作れなければ年収は低目となり、未経験者でもヒット作が作れれば凄い年収になる事も有るのです。
ゲームプランナーのキャリアパス
ゲームプランナーのキャリアパスには2種類があります。
それぞれについて解説してみましょう。
ゲームディレクター
ゲームプランナーを長く続けていると制作に関する専門的な知識が身に付いてきます。
それを生かしてゲーム製作全体を監督する仕事です。
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ゲーム製作全体を監督する仕事
ゲームディレクターは全体の進捗管理をしながら指示出し等の指揮も取ります。
ゲームプランナーは個別の質問対応やチェックを行いますがディレクターは、いわば全体管理を行う仕事ですのでマネージメント能力が必要になります。
ゲームプロデューサー
ゲームプロデューサーは、ゲーム開発の総責任者です。
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ゲーム開発の総責任者
予算管理、メンバー構成、全体のスケジュール管理も行う一方、新発売となるゲームの広報活動案、販売時期の決定などにも関わります。
ゲームディレクターよりも幅広い知識が必要となるので、より多くの勉強と経験が必要とされます。
ゲームプランナーに求められるスキル-人物像
ゲームプランナーに必要なスキルは大きく分けるとビジネススキルとヒューマンスキルに分けられます。
それぞれについて詳しく解説してみましょう。
ビジネススキル
ビジネススキルとは仕事をするうえで常識として心得ておかねばならないスキルのことを意味します。
調査-分析スキル
ゲームプランナーの仕事は企画立案がメインですが、そのためには市場調査が必要になります。
現在どんなゲームがヒットしているのか、その理由は何かを分析調査するスキルは絶対に必要です。
ゲーム業界にはトレンドというものがあり、トレンドに乗っているものほどユーザーに受け入れられやすい傾向があるからです。
もし新しいトレンドを作り出そうとする場合でも「今は何がトレンドなのか」を知っておく必要があります。
つまり市場調査はする調査・分析スキルは必要不可欠なものなのです。
企画立案スキル
調査・分析の結果から新ゲームを企画立案するのがゲームプランナーの主たる仕事ですが、
企画立案したものを分かりやすく、かつ説明しやすいように企画書にまとめるスキルです。
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企画立案したものを分かりやすく、かつ説明しやすいように企画書にまとめるスキル
このスキルがないと、いくら良いアイデアが出ても、それを上層部や開発メンバーに理解してもらうことができません。
このスキルはゲームプランナーとしては相当に重要なスキルです。
場合によっては企画立案にあたり開発予算を考慮しなければならない場合もあります。
このスキルは解説書なども出ていますので勉強すれば身に付けることができます。
プロジェクトマネジメントスキル
プロジェクトをマネジメントするのはディレクター、プロデューサーの仕事ですが、ゲームプランナーも、その補佐をしなければなりません。
プロジェクトマネジメントについては各種の解説書籍も出ていますので、それで勉強すれば身に付けることができます。
ヒューマンスキル
ヒューマンスキルとはゲームプランナーという仕事に向いているかどうかが試されるスキルです。
つまり、これらのスキルが高いほどゲームプランナーとして成功する可能性が高くなる、と言うスキルです。
コミュニケーション能力
ゲームプランナーはプログラマーを始め、デザイナー、サウンドクリエーター、マネージャーなど実に沢山の人達と係わりながら仕事を進めていかなければなりません。
ですので、これらの多種多彩な人達と、うまくコミュニケーションできないと良い物は作れません。
- プログラマー
- デザイナー
- サウンドクリエーター
- マネージャーなど
逆にコミュニケーションスキルが高いと沢山のスタッフに対し適切な指示を出すことができ、良い物ができてくるのです。
未経験の方がプログラマー、デザイナー、サウンドクリエーターなどの専門職の方と話すのは壁を感じてしまい最初のうちは苦労します。
しかし、その壁をうまく乗り越えるのがコミュニケーションスキルです。相手を理解し、相手にも自分を理解してもらうことから始めましょう。
コミュケーションスキルというのは人柄だけで何とかなるものではありません。相手が専門職なら、分からないことは教えてもらう、という謙虚な姿勢も大事です。
沢山の相手と良い人間関係を築けるかどうか、はゲームプランナーが仕事を進めるうえでキーポイントとなるスキルです。
例え話し下手であっても、素直に自分を伝えることができれば良いのです。
そのためには相手に受け入れてもらうことが必要ですが、それはまず自分が相手を受け入れることから始まります。
とにかく相手の立場に立って考えることがコミュニケーションスキルの最も肝心な点です。
発想スキル
企画立案する時には、どうしても発想力が必要です。
つまり新しいアイデアです。
発想力というと「持って生まれた能力」と考えがちですが、実はそうではありません。
よく「好きこそものの上手なれ」と言います。そしてゲームプランナーの発想力というのは自分自身の経験から生まれることが多いのです。
つまりゲームプランナーは「ゲームが大好き」な人が向いているのです。
ゲームが好きで自分でも長年、やってきたからこそ生まれる発想というのが、ゲームプランナーの発想力です。
逆に言いますとゲームに興味が無い方にはゲームプランナーは向かない、ということになります。
ゲームが好きであれば、あるほど発想力というのは高まるものです。
ちょっとした経験から、全く新しい発想が出てくる、ということは非常に多く、その「ちょっとした経験」はゲームを沢山やってきたからこそ、出会えた経験なのです。
ゲームプランナーの発想スキルは自身のゲーム経験から生まれるものなので、その経験が豊富にあるかどうかが、このスキルのカギとなります。
論理的思考能力
IT業界の仕事で論理的思考能力を必要としない職種はありません。
問題が発生した場合に、何故、それが起こったのか?どうすれば対処できるのか?を考えることはゲームプランナーに限らずプログラマー、システムエンジニア、マネージャー、全てに要求される能力です。
この能力だけは「考える力」という「持って生まれた物」が物を言う部分です。
つまり向き、不向きの分かれ目となる能力です。
ゲーム開発に携わる人達に論理的な筋の通った説明ができないと仕事にはなりませんし、そもそも作った企画書を論理的に説明できないのでは開発許可はおりません。
ただ、「今、できないから」と言って諦めるのは早計です。
考える力というのは人により強弱があるのは事実ですが、それまで考えなければならない場面にあまり出会わなかった方の中には、実は能力はあるのに、それを発見する機会に恵まれなかった、という方もいるからです。
ですので、まずは論理的に考えることに挑戦してみましょう。そのためには「人に頼ることを一切辞める」ことが分岐点となることが多いことは覚えておいて損はありません。
- 読書をする
- 疑問に対して自分なりの解決策を出す
- 自分を客観的に捉えるなど
ゲームプランナーを目指すうえで必要な資格
ゲームプランナーになるために必要な資格というものはありませんんが、持っていると有利な資格というのはあります。
これらの資格を持っていると採用面接で有利なことはもちろん、仕事に入ってからも役に立つでしょう。
ITパスポート
ITパスポートはIT技術者の入門のような資格です。
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ITに関する基礎的知識を証明できる国家資格
IT技術に関する基本的な知識を試されるものでレベル1からレベル4まであります。
過去問などを勉強していけば合格はそれほど難しくありません。
レベル1では物足りないのでレベル3くらいは持っていたい資格です。
基本情報技術者試験
IT技術者の登竜門と言われる試験です。内容は基礎的なことが中心です。
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IT職で必要な基礎知識(戦略立案・設計・要件定義・開発・運用など)を有していることを証明できる国家試験
こちらも基礎的な内容が中心となっているもので、ちゃんと勉強していけば合格は難しくありません。
ITパスポートは「IT全般に関する基礎知識」であるのに対し、基本情報施術者試験は明確に「プログラマーになりたい人」を想定した試験となります。
マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
エクセル、ワード、パワーポイントなどのマイクロソフトのツールに関するスキル認定試験です。
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マイクロソフト社製のオフィスソフト(Word・Excel・PowerPointなど)のスキルを証明できる資格
実際の業務ではプレゼンテーション、スケジュール管理などでこれらのツールは非常によく使われるので覚えておけばおくほど役に立ちます。
少なくともPCに関するスキルは結構、あるんだな、ということの証明にもなるので上記と合わせて持っていれば就職に有利になりますし実務でも必ず使用するものなので、この試験を通じスキルを高めておくことは直接的に将来につながります。
ゲームプランナーになるには
ゲームプランナーになるには、まずゲームメーカーやゲーム制作会社に就職する必要があります。
こういった会社には大小、様々な規模の会社がありますが、できるだけ大手の会社に就職することをお勧めします。
ゲーム開発というのは多人数のプロジェクトで行いますが、1つのプロジェクトに必要なゲームプランナーは1人だけです。
従って小さな会社では既にベテランのゲームプランナーがおり、その人のアシスタントとして長く勤めなければならないこともあります。
しかし大手の会社では常時、複数のプロジェクトが動いており、新規プロジェクトも沢山あるので比較的、速い時期に任せてくれる可能性が高いからです。
- 小さな会社ではアシスタント期間が長くなる恐れがあるから
- 複数のプロジェクトが動いたおり、短期間でゲームプランナーとして活躍できる可能性があるから
当然ながら、そういった大手の会社は希望者も多いので就職するのは簡単ではありません。
専門学校の中にはゲームプランナーのコースがある学校もありますので、そういった所に行けば現場を体験することも出来るので有利です。
またゲーム会社の採用試験を受ける場合、必ず、その会社の出しているゲームを何本かプレイしておくことは必須です。
ゲーム会社側はゲームプランナーは「ゲームが大好きな人でないと勤まらない」ということが分かっているので採用面接では「うちのゲームは何をやりましたか?」と必ず聞かれるからです。
その答えによって判定されることも良くあるのです。
そこで熱く語れるような人材であれば、会社側としても「これは大丈夫そうだ」と判断してくれるのです。
資格を持っていれば、より有利ですが、ゲームに対する情熱を面接官に感じてもらうことが、より重要なのです。
- 専門学校へ通う
- 気になる企業のゲームをプレイする
- 資格を取得するなど
ゲームプランナーというのは一見、楽そうに見えるかもしれませんが非常に多忙な仕事です。
ゲーム製作の1から10まで、ほぼすべての工程に関わるからです。
しかも、いくら頑張っても成果が出なければ(つまり売れなければ)良い評価はもらえないという完全な実力主義の職業でもあります。
小さな会社ではゲームプランナーの力に会社の存続がかかっている、という所もあります。
さすがに大手では、そんことはありませんが、とにかくヒット作を出さなければ評価されません。
そしてヒット作を出すためには市場調査能力、発想力が何よりも大事です。
そして市場調査能力、発想力は「あなたが、これまでにどれくらいの数のゲームをプレイしてきたかに左右されることが多いのです。
ですので「ゲームが本当に好きな方」以外には難しい職種です。
厳しい仕事ですが、通勤する車内で隣の人が自分の作ったゲームを一生懸命プレイしている姿を見た時の喜び、感動というのはゲームプランナーだけが味わうことのできるものなのです。
我こそは、と思われる方は挑戦してみることをお勧めします。