IT職種の中でもインフラエンジニアはきつい、と言われることが良くあります。
しかし、その一方、インフラエンジニアは「なくてはならない存在」なので需要が絶えるということがありません。
また他のIT職種に比べスキルが汎用的であり、転職する際には非常に有利である、という一面も持っています。
どんな仕事でも長所、短所があり「インフラエンジニアはきつい」というのは短所だけを指しているといっても良いでしょう。また、どんなIT職種でも「きつくない職種」などない、と言って間違いありません。
にもかかわらず「インフラエンジニアがきつい」と言われるのは、インフラエンジニアの「きつい点」が他のIT職種とは違うからなのです。
そこでインフラエンジニアの仕事を詳細に述べ、その特殊性を明らかにしてみましょう。
インフラエンジニアとは
インフラエンジニアは大きく分けるとサーバーの構築、運用を担当するサーバーエンジニアとネットワークを設計、構築、運用するネットワークエンジニアの2つに分かれます。
- サーバーエンジニア
- ネットワークエンジニア
サーバーもネットワークもシステムが稼働するうえで「正常に動いていないとシステム全体が使えなくなる」という特性を持っており、いわばシステムの土台になりますのでインフラエンジニアと呼ばれているのです。
サーバーエンジニアはOSの新しいバージョンが出たら、バージョンアップをしたり、システムにバグが発見された場合は修正版をインストールするなどの作業を行います。一方、ネットワークエンジニアはネットワークの全体設計と構築を担当し、運用開始後はネットワークが正常に機能しているかを監視する作業をしなければりません。
一般的にIT職種というとシステムエンジニアやプログラマーをイメージしますが、インフラエンジニアはシステムの個別機能とは無関係の仕事を担当するので、いわゆる「システム開発系」のIT職種とは違うというのが大きな特徴です。
インフラエンジニアがきついといわれるポイント
インフラエンジニアがきつい、と言われるポイントはいくつかあります。それらを1つ1つ挙げてみましょう。
休日出勤や残業が多い
社員数が少ない、またはプロジェクトメンバーの人数が少ない企業の場合は1人当たりの作業量が増える結果、休日出勤、残業が増える可能性が高くなります。
またメンバーのスキルが高くない場合、作業に時間がかかり効率が悪くなることもあります。
システムの開発時期には納期が近づくほど結合テスト、システムテストが増大する結果、作業量が増えてしまうのも、よくあることです。開発チームが徹夜作業をしている場合は、それに付き合わなければならないこともあります。またインフラエンジニアは常にシステムの監視をしていなければならないので休日出勤、残業が発生しがちである、という一面があります。
急なトラブル対応を求められる
インフラエンジニアの担当する部分はシステムの土台なので、トラブルが発生するとシステム全体が止まってしまい会社に大変な損害を与えてしまいます。
従ってトラブルが発生した場合、出来るだけ早く復旧させることが求められます。
こういったトラブルは新しいシステムの稼働開始時、アクセス数が集中する時間帯などに発生することが多いので、危険が予想される場合は監視体制を強め、何か起きてもすぐに対応できるように体制を整えておく必要があります。
当然ながら大きなトラブルの場合は会社の作業全体が止まってしまうこともあり、そうなると「復旧するまでは帰れない」こともあります。
夜勤がある
インフラエンジニアは24時間体制でシステムの監視をしなければならないので夜勤が発生することは覚悟せねばなりません。そのためにもインフラエンジニアは数人でチームを作りシフト体制を整備しておく必要があります。
しかし夜勤といっても監視が主たる業務なので、何も発生しなければ特にすることはありません。夜勤の時間帯は勉強にあてる、という人も多くいます。しかし24時間体制で監視しなければならない、というのは常に仕事に縛られているような感覚になってしまうのは事実です。
つまり「心が休まるヒマがない」というのが、最もきついと感じられる点です。しかし、それはインフラエンジニアだけではありません。社内SEなども「何かあれば休日でも電話がかかってくる」のです。
システムというものは人間が面倒をみてやらないとならない部分が、まだまだ多く、ITエンジニアの多くが「常に多忙」なのです。ですが、インフラエンジニアは特に、それを感じやすい職種であると言えます。
勉強することが多い
インフラエンジニアは大きく分けて「サーバーエンジニア」と「ネットワークエンジニア」に分かれますが、出来れば両方出来た方が良いことがほとんどです。
サーバーもネットワークも24時間の監視が必要ですが、それぞれのスキルしか持っていないと2人で監視をしなければなりません。しかしサーバーのスキル、ネットワークのスキルの両方を兼ね備えていれば監視は1人いれば良いことになり、シフトも組みやすくなりますので、片方だけでなく両方のスキルを身に付けるように求められることが多々あります。
実際、両方ができれば自分自身のためにもなるので悪いことではないのですが、サーバーのスキルもネットワークのスキルも日進月歩に進歩していきますので常に最新の情報を知っておかなければなりません。
特にバージョンアップの情報は重要で、何がどう変更されるのかを把握しておかないと思わぬトラブルになりかねません。インフラエンジニアはベースとなるスキルだけでなく常に最新情報を積極的に把握しておく必要があり、勉強が欠かせないので、両方のスキルを兼ねそなえるとなると勉強量が倍になり、常に勉強していないと間に合わないということになります。
ですので、最初は相当に大変ですが、慣れてしまえば「いつものこと」になってきます。
インフラエンジニアはシステムエンジニアやプログラマーのように「どのようにして機能を実現させるか」を考える必要は少ないのですが、「何がどう変わるのか」については常に敏感でなければならないのです。
サーバールームが寒い
システムの本体機が置かれているサーバールームは常に冷房が入っています。
サーバー等の機械類を稼働させると熱が発生しますし、人がいるだけでも熱が発生し室温が上がってしまいますが、コンピュータの基盤に使われているICは熱に弱く、常に放熱してやらないと壊れてしまったり、誤動作を起こしかねないからです。
そして、インフラエンジニアはサーバーの近くやネットワークの大元となる部分で待機していた方が万一の場合に、すぐに作業にかかれるのでサーバールームで待機することが多いのです。
サーバールームの冷房は一般の事務室などと違い設定温度が相当に低いので長時間いると冷房病などにかかってしまう可能性もあります。ですので「寒さ対策」が欠かせません。
仕事の成果が目に見えにくい
インフラというのは顧客から見ると「普通に動くのが当然」と思われてしまう部分です。私達が日々、電気や水道を使っているのと同じ感覚です。
しかし、実際にはインフラを常に普通に動くように保持するのは相当に大変な作業です。必ずバージョンアップや、より高性能の新規格の接続機器などが出て来るので、それらに対応していかなくてはならないからです。
しかし、それらに対応してもインフラとしては「普通に動き続けるだけ」なので見た目としては変わりません。実は「ちゃんと対応しているから普通に動いている」のですが、それを理解してくれる顧客は決して多くはない、というのが現実です。システム機能であれば「変更部分が目に見える」ので顧客も評価を下せるのですが、インフラについては変更部分が分かりにくく目に見えないので評価を下せないのです。
これはインフラエンジニアの宿命ではありますが、見てくれる人はしっかり見てくれているものです。どんな仕事でも「縁の下の力持ち」は必要でありIT業界においてはインフラエンジニアがそれにあたるのです。
一見、損な気持ちになるかも知れませんが、誰かがやらなければならない仕事です。そして、そうであることを、ちゃんと理解してくれる人は必ずいるものです。インフラエンジニアはいわば「大前提」なのです。その「大前提の仕事」を担当することは責任重大である、ということをちゃんと上の人は理解してくれています。
「いつもご苦労さん」という一言が、それを物語っているのです。
地味で単調な業務が多い
インフラエンジニアがきつい、と言われるのは案外に「業務内容が地味で単調」であることが原因である場合も多いです。監視といってもトラブルが起きなければ「ただ見ているだけ」となってしまいます。トラブルが起きないのは良いことなのですが監視している側から見ると「何もしていない」ように感じるのは当然でしょう。
プログラムを作るプログラマーは色々な機能のプログラムを作るので多彩なので、つい「自分の仕事に疑問を感じる」ということもあるでしょう。
しかし考えてみて下さい。例えば工場で流れ作業をする人も「いつも同じ作業」を続けているのです。そして工場で流れ作業をしている人は流れが止まってしまったら何もできなくなってしまいます。
しかしインフラエンジニアは流れが止まったらすぐに対応しなければならないのです。それは誰にでも出来る物では無く「知っている人」にしか出来ないことなのです。インフラエンジニアが監視してくれているからこそ、安心してシステムを使うことができるのです。
地味で単調な業務が多いことはやむを得ませんが、いざとなったらインフラエンジニアがいなければ困ってしまいます。
つまり「大きな存在意義」があるのですが、なかなか、それが感じられないのは事実です。しかし「仕事に追われていない」ということは勉強する時間がある、ということでもあります。
インフラエンジニアはその点、他のIT職種よりも恵まれている、とも言えるのです。
インフラエンジニアの魅力
きついと言われるインフラエンジニアですが魅力的な点も多々あります。それらを挙げて見ましょう。
学歴に左右されない
これはインフラエンジニアに限りません。IT業界では実力がものをいうのであって学歴は関係ありません。例え、高卒であっても「できるエンジニア」の方が信頼されるのです。
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IT業界は学歴主義ではなく、実力主義
実績だけがものをいう業界なので高学歴でない方でも活躍が可能な業界です。特にインフラエンジニアはしっかりと勉強しており、いざという場合に適格な対応ができ、早期復旧が出来る人が望まれます。
例え立派な学歴であっても早期復旧ができれなければ「不適格」とされてしまうのです。まさに実力主義の職種なのです。
安定して働ける
現在、どこの企業でもシステムを使って業務をしています。つまり必ずサーバーやネットワークを使っているのです。
ですので、インフラエンジニアの仕事は、どこの企業でも必要とされる仕事であり例え、リストラせざるを得ない状況になってもシステムに直接的にかかわる要員だけは簡単に切ることはできません。
もしそういった要員を切ってしまったら、いざと言う時に会社業務が止まってしまい、どうしようもなくなってしまうからです。
つまり、いくらシステムの予算を縮小せざるをえなくなってもインフラエンジニアだけは切れないのです。
インフラエンジニアはそういった意味でIT業界の中でも特に安定性の高い職種と言えるのです。
汎用性のある知識やスキルを身につけられる
インフラエンジニアはサーバー、ネットワークという汎用性の高い部分を受け持つので、そのスキルも汎用性の高いものになります。例えばプログラマーで言えばPHPは出来てもJavaができなければJavaを主体として使っている会社に転職することは難しくなります。
しかしインフラエンジニアには、そういったことがありません。どこに言ってもサーバーはサーバーであり、ネットワークはネットワークであるからです。
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サーバーはサーバーであり、ネットワークはネットワークであるから、どこの企業でも安定して働ける
もちろんサーバーのOSはLinuxであったりWindowsであったりと多少の変化はありますが基本は同じですので変化に対する対応は難しくありません。また開発部門はアジャイル開発で行うところがあったり、旧態以前とした開発方法を取っているところなど様々で、仕事の進め方事態が違ってくることもあり、それに対応するのは結構、大変なことです。
しかしインフラエンジニアには、そういうこともありません。一度、身に付けたスキルがどこででも生かせるのです。この利点はIT業界の中でもインフラエンジニアだけが持つ利点と言えます。
システムエンジニア、プログラマーは開発言語、開発手法が違う会社に移ることはリスクが伴うのですが、インフラエンジニアには、それがないのです。そしてインフラエンジニアの需要は常にある、というのも大きな強みといえるでしょう。
大手で働けるチャンスがある
通常、大企業に就職するには高学歴であることが求められますが純前たる技術職であるインフラエンジニアはスキルが高ければ有名な大企業に移るチャンスも出てきます。
そういった企業なら給与も良く福利厚生も充実しているでしょう。また自分の中においても満足できるものがあるでしょう。こういったチャンスはインフラエンジニアならではのもの、と言えます。
スキルアップで高収入を得られる
現在、何等かの資格を取ると、それに対し一定の手当を出してくれる会社が多いです。そしてインフラエンジニアはそういった資格を取りやすい職種と言えます。
サーバー系の資格、ネットワーク系の資格は色々な物があり、かつインフラエンジニアは勉強する時間が取りやすいので、もっとも資格を取りやすいIT職種と言えるのです。
そういった資格を取っておくことは高収入につながるだけでなく転職にも有利ですし、何よりも自分自身に自信を持つ事ができると言う点でもお勧めです。
資格というのは取ると一種の「社会的な使命感」も感じられるものですので、それまでとは仕事に対する姿勢が違って来たりもします。
システムエンジニアやプログラマーは多忙過ぎて中々、資格を取る勉強まで手が回らないというのが実情で、その点、インフラエンジニアは非常に恵まれているのです。
- ITパスポート
- 基本情報技術者・応用情報技術者
- ネットワークスペシャリスト
- データベーススペシャリスト
- Linux技術者認定 LinuCなど
ひとりで仕事をしやすい
システムエンジニアやプログラマーはチームを作り共同で作業をするのが普通です。
それに対しインフラエンジニアはサーバールームで1人で仕事をすることがほとんどです。つまり、あまり人間関係を持たずにマイペースで仕事ができるのです。
共同作業ですと、やはり勘違いや意見の相違なども出ますので人間関係が複雑になりがちですが、インフラエンジニアにはその心配が少ないのです。
「他人との共同作業は苦手」という方には向いていると言えるでしょう。
インフラエンジニアへの就職・転職を成功させるコツ
インフラエンジニアを目指そうとする場合、どのようにすれば良いのかを述べてみます。
働き方やキャリアについて理解する
インフラエンジニアにはインフラエンジニア特有の事情があるので、まず、それを知っておいた方が良いです。簡単にまとめると以下のようになります。
運用・保守には夜勤がある
24時間体制で監視をしなければならないのでやむを得ません。
但し、夜勤はヒマなことも多いので勉強の時間にも使えることが多いです。
運用・保守はトラブルが発生すると解決するまで帰れない
インフラのトラブルは会社にとって大変な事態ですので、解決するまで帰ることはできません。
これはインフラエンジニアに限らず運用保守を担当するシステムエンジニアやプログラマーでも同じです。
休日でもトラブルが発生すれば連絡が来て対応しなければならない
これもインフラエンジニアに限らずシステムエンジニアやプログラマーでも同じです。
IT関係の職種には、ほぼ共通して言えることですので心得ておいた方が良いです。
入社してしばらくは運用・保守の工程を担当することが多い
インフラエンジニアとして入っても、最初のうちはオペレーターの仕事を担当させられることが多いです。これは、そのシステムがどういう運用をされているのかを理解してもらうために行われているものと思って下さい。
実際、オペレーターが日々、何をしているのかを知っておくことはインフラエンジニアにとって重要な知識なのです。
トラブルが発生した場合、オペレーターのミスによるものか、機械故障によるものか、或いは他の原因であるのか等の原因特定をするのに、オペレーターの作業を知っておくことは必須知識だからです。
資格を取得する
インフラエンジニアが取得しておくと良い資格を挙げてみましょう。
資格取得はインフラエンジニアになるための必須条件ではありませんが、取っておくと仕事に役立ち、給与も上がる事が多いものです。
シスコ技術者認定
通称、CCNA(Cisco Certified Network Associate)と言います。米国のネットワーク機器メーカーであるシスコシステムズが認定している資格でネットワークエンジニア・インフラエンジニアにとって登竜門的な資格と言えます。
特にネットワークエンジニアの資格として有名なもので、世界共通基準でもあるので合格すれば世界基準で認定された技術者となります。
ただし、この資格は有効期間があり3年間です。3年したら、再受験するか上位資格にトライする必要がありますが、ネットワークの技術うは日々、進歩しているので、その勉強を兼ねていると思えば「ちょうど良い期間」と言えるのです。
この資格を維持することは、そのまま「新しい技術を身に付けていく」事につながります。インフラエンジニアを目指すなら、まず取っておきたい資格です。
Linux技術者認定(LPIC、LinuC)
LPIC、LinuCともにサーバーのOSとして普及しているLinuxの技術者の認定試験です。ですので、サーバーエンジニア向けの資格と言えます。LPICはカナダにあるNPO法人Linux技術者認定機関「LPI(エルピーアイ)」の日本支部が運営している国際認定資格です。
LPICの特徴は、資格試験の勉強をしていると自然にLinuxについての知識が一通り、身に付けられるという点にあります。
Linuxは日本国内のサーバーの70%を占めると言われており、Linuxを扱う知識、スキルはサーバーエンジニアにとっては必須となるものなので、その勉強をするのに、ちょうど良い資格です。LPIC-1、LPIC-2、LPIC-3の3段階があり、最初はLPIC-1から受験し合格したらも、もう1つ上の資格の受験資格が得られます。LPIC-1の合格率は65%から70%位と高めですので、ちゃんと勉強していけば受かると考えて良い資格です。
これに対しLinuCは日本の特定非営利活動法人エルピーアイジャパンが認定している資格です。Linuxは世界中で使われているOSですが、国により使い方に相違があります。そこで「日本でよく行われているLinuxの使い方」に的を絞って資格認定試験を行っているのがLinuCです、従って日本国内の企業でサーバーエンジニアとして活動したい方にはLinuCの方が、より適切と言えます。
LinuCは日本の試験ですのでLPICと違い「問題の和訳による不明瞭さ」が無いことが良いのと日本国内の事情に合わせた理解の仕方を教えてくれるのが特徴で仮想化/クラウドなど現在の日本のシステム開発に求められる内容が中心になっています。つまりLPICよりも実践的と言えるのです。LinuCもLinuC-1、LinuC-2、LinuC-3と3段階のレベルが用意されており最初はLinuC-1からです。LinuCは比較的、近年に設けられた認定試験ですが、日本の現状に合わせた内容になっているので、どちらかと言えばLinuCを目指した方が効率的で実践的と言えます。
但し、あくまで「日本国内の事情」ですので、海外も視野に入れている方、外資系を考えている方はLPICの方が良い場合もあります。どちらにしてもLinuxの知識を得られるという点では変わりません。
Oracle Master(オラクルマスター)
オラクルマスターは日本オラクル社が認定しているオラクルデータベースを扱う技術資格です。
データベースの管理と運用、SQLと言うデータベースの中身を参照、操作する言語の習得が試験課題です。
オラクルは世界でも有数のシェアを誇るデータベースで、日本でも多くの企業が採用していますのでオラクルマスターは業務システムを扱うITエンジニアにとって是非、取っておきたい資格です。
オラクルマスターには「Bronze(ブロンズ)」、「Silver(シルバー)」、「Gold(ゴールド)」、「Platinum(プラチナ)」4つのグレードがありプラチナが最上位です。ですのでまずはBronzeから目指しましょう。
サーバーエンジニアにとってデータベースは欠くべからざるものなので、オラクルを知っておくことは必須条件と心得て置くべきです。
AWS認定試験
AWS(Amazon Web Services)は世界最大のシェアを誇るクラウドサービスです。
日本でも67%の企業が採用しており、クラウドサービスは今後、ますます伸びていくものと考えられているので今やインフラエンジニアにとってAWSの知識は必須となっていると言えます。
最初はCloud Practitioner(クラウドプラクティショナー)と呼ばれるAWSの基礎知識の認定試験から始まり、次に中級として以下の3種類が用意されています。
- Solutions Architect(ソリューションアーキテクト)システム設計技術が中心
- Developer(デベロッパー) アプリケーション開発・デプロイ・デバッグが中心
- SysOps Administrator(シスオプス アドミニストレーター)管理・運用・保守が中心
さらに最上級資格として以下の2つが用意されています。
- Solutions Architect(ソリューションアーキテクト)プロフェッショナル 高度な設計技術が可能
- DevOps Engineer(デブオプス エンジニア)プロフェッショナル 高度なアプリケーション開発が可能
インフラエンジニアとしてはCloud Practitioner(クラウドプラクティショナー)を取ってからSysOps Administrator(シスオプス アドミニストレーター)を取るのがベストです。
最上級資格は開発者用ですのでインフラエンジニアには向いているとは言えません。
ネットワークスペシャリスト試験
ネットワークスペシャリスト試験はAPI(情報処理推進機構)が認定しているネットワークについての国家資格です。ネットワークについては、この資格を持っていれば十分と言えます。
しかし、この資格試験は難関として知られており合格率は平均で毎年2.6%前後と低い数値です。
ですので、目指すのであれば気長に取り組むことをお勧め致します。
入社前に職場環境を確認する
インフラエンジニアを目指し転職、入社する場合、事前に以下の内容を確認しておくことをお勧めします。
こういった職場環境が整備されている、いないでは入社してからのスキルアップに大きな差が出るからです。
研修制度が充実している
インフラエンジニアは学ぶべきことが多いので、できれば独学では無く研修を受けられる体制を整えてくれている所の方が良いです。
「その会社にだけ通用する知識、スキル」では汎用的なものとは言えません。
その会社に長くいるにしてもインフラも絶えず進歩させてゆかねばならないので、やはり汎用性の有る知識を身に付けて置く必要があるのです。
平均残業時間が少ない
インフラエンジニアは1社に数人はいないと業務が集中してしまい大変なハードワークになってしまいます。
ですので、十分な人数のインフラエンジニアがいる会社を選びましょう。
その目安として残業時間が少ない会社を選べば大丈夫です。夜勤や万一の場合の緊急体制を考えてもインフラエンジニアは1人でも多い方が良く、人数が少ない会社は避けた方が賢明です。
残業手当や休日手当がついている
例え十分な人数のインフラエンジニアがいたとしても多少の残業は必ず発生するものと考えておくべきです。またインフラエンジニアは休日出勤も多くなるのが普通です。
OSのバージョンアップや修正プログラムのデプロイなどを行う時はシステムを一旦、止める必要があり、業務時間中には出来ないからです。必然的に、そういった作業は業務時間終了後や休日に行うことになるので残業手当、深夜手当、休日出勤手当があるとないとでは収入に大きな差が出てしまうのです。
またモチベーション的にも、それらの手当てがあるとないとでは大きな差となります。それくらいにインフラエンジニアは「システムが使われていない時に作業をすること」が多いのです。
夜勤は分担制になっている
インフラエンジニアは夜勤がつきものですが、夜勤はどういうシフト体制になっているのかを事前に確認しておいた方が良いです。
人間の身体は本来、夜は寝て昼に活動するようになっていますので夜勤は必ずしも健康的な勤務体制とは言えません。ですがインフラエンジニアは24時間体制で監視をしなければならないので、やむを得ず夜勤があるのです。
- 公平に分担するようになっているのか
- 夜勤明けに続けて日中勤務というような、きつい勤務体制になっていないか
などを確認しておいた方が賢明です。
社内の人間関係の雰囲気がよく活気がある
よく「ブラック企業」と言う言葉が使われますが、例え会社自体は健全であってもインフラエンジニアの勤務体制は変則的にならざるを得ないので「実態としてはブラック」ということも有り得ます。
インフラエンジニアの職務特性から考えると、やむを得ない部分があるとはいうものの、あまりにハードなスケジュールでは長続きしません。そして、それは、その会社の社内の人間関係の雰囲気、活気の有無があるかどうかで判断できる場合がよくあります。
勤務体制がきつい会社は人間関係の雰囲気が悪く活気もないことが多いのです。そういう所ではスキルアップしようにも時間がなかったり、雰囲気に飲まれてしまったりもするものです。
インフラエンジニアの需要は沢山ありますから少しでも良い会社を選ぶようにしましょう。
少人数で、ぎりぎりシフトを回しているような会社ではスキルアップは望めませんし、雰囲気も悪く仕事に対するモチベーションも下がってしまいがちなものなのです。
インフラエンジニアに向いている人
ITの勉強が苦にならない人
サーバーもネットワークも日進月歩で、どんどんバージョンアップしたり新しい物が出てきたりします。インフラエンジニアはそういったものを、どんどん取り込んで行かなければなりません。
インフラエンジニアをしている限り、それは続くのでインフラエンジニアに向く人は「そういった新しいものを学ぶことが苦にならない人」ということになります。案外にシステムエンジニアやプログラマーの中には「新しいものは苦手」という人が多いのです。
ずっと同じサーバーで同じ言語で開発を続けていると、新しいものを学ぶのが、段々と億劫になってきてしまうのです。しかしインフラエンジニアはそれでは務まりません。
常に新しい製品、技術に関心を持ち、ちょっと調べてみようという方の方が向いているのです。
機械相手の仕事が好きな人
IT業界は大きく分けてソフトウェアとハードウェアの仕事があります。そして一般的にソフトウェア担当はハードが苦手、ハードウェア担当はソフトが苦手ということが多いものです。しかしシステムというものはハードウェアとソフトウェアが揃わないと動きません。
ですので、インフラ担当者は両方を心得ているのが最も良いのですが、ソフトウェアには前提要件があり機能分割がありますので、それを全て理解しろというのは少々、無理があります。
従ってインフラ担当はOSというソフトまで理解していればよく、後はハードウェアを担当する係であると考えるべきなのです。つまり、どちらかというとハードウェアに重きを置いた職種なのです。
ですので「機械相手の仕事が好き」という方の方が向いている、と言えるのです。
まとめ
インフラエンジニアはまさに縁の下の力持ちです。あまり華やかではありませんが「絶対に必要」な人材なのです。
将来、AIの普及が進みシステム構築が簡単にできるようになってもインフラエンジニアの仕事はなくなりません。
何故ならシステムの土台を構築しなければAIも動きようがないからです。そしてインフラエンジニアは誰にでも務まる職種ではありません。
いざと言う時に的確に判断し適切に対処できる人でなければならず責任も重大だからです。
ですので、どこの会社でも頼りになるインフラエンジニアが欲しいのですが、インフラエンジニアの適性を持つ方は決して多くはいない、というのが現状です。
ですので、我こそは、という方はトライしてみる価値のある職種と言えるのです。