一定以上の年代の方が転職に臨む際、マネジメント経験の有無が問われることは少なくありません。
すでに管理職の方はマネジメント経験を有します。
一方、管理職の未経験者にとっては、どこからがマネジメント経験に含まれるのか?の判断が難しいのも確かです。
ここでは、マネジメント経験に関する次の項目をご紹介します。
- 近々転職を検討している方
- マネジメント経験の”基準”に興味のある方
- 自身の経歴がマネジメント経験に含まれるのか知りたい方
- 職務経歴書にマネジメント経験を加えたい方
- マネジメント経験のアピールの際に意識することを確認したい方
マネジメント経験とは?
マネジメント経験=管理職経験という印象が強いかもしれません。
主任や課長、店長や現場監督として業務を遂行した経歴を持つ方は、マネジメント経験を有していると言えます。
広義の意味においてのマネジメント経験の定義は次のとおりです。
具体例 | |
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ポジション | ・管理職 ・プロジェクトリーダー ・チームリーダーなど |
業務内容 | ・メンバーの育成および指導 ・目標達成に導くメンバーへの的確な指示 ・メンバーへの評価 ・プロジェクトの進捗管理 ・スケジュール調整 |
そのため、自身の主導にて複数人とともに業務上の目標を達成した経験=マネジメント経験とみなすことができます。
管理職経験を持たないからといって、マネジメント経験を有していないとは限りません。
マネジメント経験はなぜ求められるのか?
マネジメント経験を有する人材が求められる理由として、次の3つが考えられます。
管理職の人材不足(中小企業など)
管理職の人材不足は、主に中小企業やベンチャー企業などに見受けられるパターンです。
従業員数の多い大企業の場合、将来のマネジメントを担うべき人材を業務を遂行する中で育成することも難しい話ではありません。
案件ごとのプロジェクトリーダーを複数人に分けて任せたり、支社や提携企業などで管理職(支社長など)経験を積ませることも可能です。
中には独自のマネジメント育成プログラム(カリキュラム)に則って成長を見守る企業もあるかもしれません。
これが従業員数の少ない中小企業やベンチャー企業の場合、日々の業務に追われるばかりで、マネジメント人材の育成まで手が回らない可能性もあるでしょう。
そのような背景から、マネジメント経験を有する方が”即戦力”として迎え入れられるのではないかと思われます。
新規事業のリーダーを任せられる人材の不在
右肩上がりで成長を続ける企業の場合、新規事業や事業拡大に関するプロジェクトリーダーに任命され、結果を出しつつ経験を積み重ねる方もいるかもしれません。
そのような人たちは、成功体験によってタフなメンタルとともに、センスやスキルも磨かれている可能性があります。
これから新規事業や事業拡大を目論む企業にとっては、喉から手が出るほどの人材であるのは間違いないでしょう。
デジタル化などで事業転換を余儀なくされる企業にとっても同様です。
事業承継の後継者問題
経営者の高齢化が進むことで、事業承継を実施する企業も増えつつあります。
ただし、事業承継は長期的視点で取り組まないと難しいのも確かです。
経営者のご子息などが、そのまま次期経営者として収まれば問題ありません。
一方で、深刻な後継者不足に陥っている企業の場合、外部から後継者候補を迎え入れるか、M&A(企業の合併や買収)を選択せざるを得ない状況も想定されます。
いずれにせよ、マネジメント経験を有する人材が求められるのは変わりません。
「マネジメント経験あり」といえる経験とは?
マネジメント経験のわかりやすい例として、管理職に就くことがあげられます。
- 課長
- 係長
- 次長
- 部長
- 班長
- 主任
管理職手当が支給されている「役職」と捉えると良いかもしれません。
そうなると、以下のパターンも管理職に含まれることになるかと思われます。
- 店長
- 支社長
- 支店長
前述したようにマネジメント経験とは、以下の業務経験を持つ方と捉えることができます。
- メンバーの育成および指導
- 目標達成に導くメンバーへの的確な指示
- メンバーの評価
- プロジェクトの進捗管理
- スケジュール調整
そのことからもう少し範囲を広げていくと、次の役割を担った方もマネジメント経験を有することになるかもしれません。
- フロアマネージャー
- ライン長
- 現場監督
- ディレクター
- プロデューサー
- バイトリーダー
それから役職名ではありませんが、プロジェクトリーダーやチームリーダーとして業務での結果を残した方も「マネジメント経験あり」に含まれます。
マネジメント経験をアピールする際のポイント
ここからはマネジメント経験をアピールする際のポイントとして、次の3つの項目を紹介します。
企業側がマネジメント経験を要求する意図を考えてみる
まず最初に何故、企業側がマネジメント経験を要求するのか?その意図を考えることから始めてみましょう。
「敵を知り己を知れば百戦殆(あや)うからず」です。
たとえば経営者候補を求めている企業に対して、プロジェクトリーダーの経験をアピールしたとしても、相手の求めている人材には結びつかないことが想定されます。
一方で飲食店のバイトリーダーの経験を持つ方が、別の飲食店のマネージメント職に転職する際には、バイトリーダー経験=即戦力とみなされるかもしれません。
とはいえ、企業情報を隅から隅まで読み込んだところで、企業がマネジメント経験を要求する意図を掴むことは困難でしょう。読解力がテレパシー能力並みの方はさておき。
ヒントとなり得るのは、実際にその企業で働いている方へのインタビュー記事です。特にマネジメント職へのインタビューであれば参考になる可能性が高いでしょう。
企業のSNSアカウントや採用ページなどから見つけることができるかもしれません。
マネジメント経験の中に数字を盛り込む
マネジメント経験をアピールする際には、数字を盛り込むことも重要なポイントです。
具体的に積極的に盛り込みたいのは以下の数字です。
数字の例 | |
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マネジメントを行った人数 | ・3人 ・5人 ・10人 ・100人など |
マネジメントで取り組んだ予算や売上 | ・100万円 ・1,000万円 ・1億円など |
マネジメントによる達成率 | ・目標達成率:110% ・前年度同月より20%アップなど |
数字を加えることによって、どのくらいの規模であったのか?を相手がイメージしやすくなります。
当時の経験を深堀りし、成果だけでなく課題や施策についても整理する
マネジメントをした当時の経験を深堀りして見直すことも必要です。
メモを用意して思いつくまま箇条書きなどで記していき、最後にまとめることで、アピール資料のひとつとなり得ます。
・マネジメント業務当時の課題や問題点
⇒ 課題に対してどのようなアプローチをしたのか?
※問題の解決や改善につながったもの、効果が得られなかったもの
・問題が解決しなかった場合にどのような対処をしたのか?
※メンバーへの聞き込み、アイデアの提案、取り組む姿勢
・マネジメントの成果
※売上、進捗率、予算消化率、職場環境、メンバーの成長など
マネジメント経験の職務経歴書への書き方
ここからはマネジメント経験の職務経歴書への書き方を、アピールしたい項目別に紹介します。
マネジメントの成果
私にとってマネジメントの最初の仕事はメンバー10名の力量を見極め、ふさわしい配置転換をすることでした。
個々のメンバーからのヒアリングを積み重ね、こまめな進捗状況を把握することで無理なく仕事ができる環境づくりを心がけたものです。
その結果として、前年比120%の売上を達成できました。
メンバーへの指導
メンバーには進捗確認と同時に、問題点の報告もその都度してもらうように伝えていました。
アドバイスだけでなく、メンバー自身で考える機会を作り、自身で答えを導き出せる育成につなげています。
マネジメント経験に関する質問への回答例
マネジメント経験に関する質問を受けた際、次のように答えていくと相手に伝わりやすくなるかと思われます。
マネジメントの経験年数とメンバーの数
マネジメント経験は5年です。
最初の3年間はチームリーダーとして、5名のシステムエンジニアの進捗管理を担いました。
次の2年間はプロジェクト全体のリーダーとしてのポストを与えられ、進捗管理だけでなく予算や勤怠管理なども行っています。
マネジメントで心がけることは?
メンバーが自主的に動きやすい環境を作ることです。
さりとて放置するわけではなく、進捗状況に応じた対処策を施します。
そのためにもメンバーへのヒアリングは欠かせません。
マネジメント経験を積むことで変化したことは?
マネジメント業務に就いた当初は、自分で進めたほうが早いのではないか?の思いが抜けきれず、過干渉気味であった点は否めません。
マネージメントやコーチングに関する書籍を読んだり、メンバーとのやり取りを繰り返すうちに、見守ることも大切だと気付かされました。
それ以降はメンバー自身が考えつつ、仕事を進められるようなアドバイスを心がけています。
マネジメント業務における失敗とは?
売上や結果が出せないこともそうですが、自身の経験や成功体験に基づく考えばかりを押し付けることもマネジメント業務の失敗につながると思います。
やはりメンバーが自主的に動けるように導かないとメンバーも成長しないためです。
メンバーの成長なくして私の成長もあり得ません。
進捗状況が芳しくないときの対処
進捗状況が遅れているメンバーの仕事量を見直し、できるだけ無理のないように他のメンバーに割り振ることで調整しています。
それでも厳しい場合には納期の交渉をするケースもあるかもしれません。
マネジメント経験者がこれまでの経歴を活かすために
ここまで、マネジメント経験に関する以下の項目を紹介してきました。
- マネジメント経験とは?
- マネジメント経験はなぜ求められるのか?
- 「マネジメント経験あり」といえる経験とは?
- マネジメント経験をアピールする際のポイント
- マネジメント経験の職務経歴書への書き方
- マネジメント経験に関する質問への回答例
プレイヤーとして優秀な方であっても、年齢を重ねるごとにマネジメント経験の有無が重視される点は否めません。
ひとりでできる仕事量には限界が生じることがその理由です。
新たな活動先にてマネジメント経験をアピールし、きちんと活かすためにも「言語化能力」を磨くことをおすすめします。
考えるときにはメモを使い、書き記していく習慣をつけることが近道です。
なるべく多くの書籍を読むことで、語彙や表現力が広がります。
そして健康管理を怠らないことも大切なセルフ”マネジメント”です。