自由な働き方で、自分の好きな時に、自分の好きなだけ働くことができすフリーランス。
会社での仕事上での人間関係から解放されて、ストレスフリーに見えるその働き方と心の健康「メンタルヘルス」はあまり関係あるようには見えないかもしれません。
しかしながら、メンタルヘルスはフリーランスが気をつけるなくてはいけない健康の1つの要素なのです。
この記事ではフリーランスが抱えるストレスやメンタルヘルスの問題点、そして、フリーランスのうつ病の予防方法を解説していきます。
この記事を読んで、自分の心の健康を大切に、本当に自由な働き方ができるフリーランスを目指しましょう。
そもそもメンタルヘルスとは?
メンタルヘルスとは身体の健康ではなく、「心の健康」のことを意味しています。日々の生活の中で、あなた自身の心や身体に不調があると、知らない間に心に負担がかかってしまい、メンタルヘルスの問題が生じてしまうことがあります。
働き方改革で、企業に勤める働き手のメンタルヘルスの改善が叫ばれている現代で、フリーランスのメンタルヘルスとはいったいどのようなことに注目するといいのでしょうか?
フリーランスのメンタルヘルス事情は?
この記事では、具体的になフリーランスのメンタル事情について知ってもらうために、会社員とフリーランスのメンタルヘルス事情について、株式会社Warisが行った「フリーランスのメンタルヘルスに関する調査」の調査結果を元に解説をします。
結論から述べますと、Warisの研究では、会社員と比較して、フリーランスのメンタルヘルスは良好な傾向にあるという結果が得られたようです。
それでは、その内容を詳しくみてみましょう。
会社員と比べると良好なメンタルヘルス
Warisの調査によると、会社員と比較して良好なメンタルヘルスであることがわかりました。
調査結果はメンタルヘルスが良好なフリーランスが69.5%に対して、メンタルヘルスが良好な会社員は56.9%だったのです。
属性 | 割合 |
---|---|
メンタルヘルスが良好なフリーランス | 69.5% |
メンタルヘルスが良好な会社員 | 56.9% |
この調査はWarisのアンケートに対して回答が得られた395人のうち、異常値を含む回答を除いた370人を対象としています。
特に収入の高い人が良いメンタルヘルスの傾向に
さらに、warisの研究によると、収入の高いフリーランスほどメンタルヘルスケアがしっかりできているという結果もありました。
調査によると、時間単価が3000円未満のグループに対して、時間単価が3000円以上のグループはストレスに対する反応が低かったようです。
Warisの調査では不安感、疲労感、ミス増加の3つの観点からストレス反応について比較しているのですが、3つのうち、特に疲労感とミス増加は統計学的にも有意な差が時間単価の差によって現れていることがわかりました。
メンタルヘルスに問題が生じることも
一方で、フリーランスでもメンタルヘルスに問題が生じるケースも報告されているようです。
うつ病などのメンタルヘルスの問題が生じてしまうと、フリーランスの仕事そのものに支障をきたしてしまう可能性があります。
Warisの調査では、回答したフリーランスの30.5%が「メンタルヘルスの不調」を自覚しているという報告がありました。
メンタルヘルス不調の原因は?
なぜ、自由な働きかたをしているフリーランスにメンタルヘルスの問題が生じるのでしょうか?
私たちの心と身体は密接に関係しています。
メンタルヘルス不調の原因には、フリーランス特有の不規則な生活習慣や、また、収入や案件の不安定さから生じる不安、そして、自由がゆえの孤独が主な原因です。
ここからは、メンタルヘルスへの問題に繋がる原因について一つずつ解説していきます。
自由がゆえの孤独
会社の人間関係や社会のしがらみから解放されて、自由な働き方を手にすることを夢見てフリーランスになられて方も多いのではないでしょうか?
しかし、フリーランスは自由である反面、誰とも関わることがなく、孤独を感じることも少なくありません。誰かと一緒に働く会社と違って、仕事の達成の喜びを分かち合える仲間を得ることが難しいこともフリーランスの特徴です。
また、海外の若者を対象にした研究によると、社会的な孤独により寂しさを感じる人と、うつ病を発症する人の間には相関関係があり、同じ遺伝子が関係しているのではないかとも言われています。
研究では、社会的に孤立している若者が必ずしも、孤独感を感じるとは言えませんが、一方で、孤独感を感じる人の多くは抑うつ感を感じるというように示唆されています。
不安定な収入や案件獲得
フリーランスとして、働く上で特にメンタルヘルスに影響するものが、不安定な収入や案件獲得です。
会社員が安定した収入が保証されている一方で、フリーランスは自分自身が働くことを止めてしまうと収入が得られない可能性が生じてしまいます。
そう言った不安定な収入の現状や、不安定な収入への不安感から生じてしまう過剰な案件獲得による働き過ぎもフリーランスのメンタルヘルスに影響を与える因子です。
不規則な生活習慣
生活習慣とうつ病の発症も研究から明らかになっています。
フリーランスの中には、不規則な食事や不規則な睡眠時間、運動不足などに陥っている方も多いのではないでしょうか?
最近の研究では、食事内容や睡眠時間とうつ病の関係性も明らかになっています。
不規則な生活でしっかりとした食事や睡眠の時間が確保できないと、メンタルヘルスに悪影響が及ぼされる可能性が高くなってしまうのです。
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メンタルヘルスに悪影響が及ぼされ、うつ病を発症しやすい傾向がある
健康なメンタルヘルスを維持するために
それでは、健康なメンタルヘルスを維持するためにはどのようなことに気をつけてフリーランスとして活動するといいのでしょうか?
フリーランスの働き方特有のメンタルヘルスの原因にうまく対処して、健康なメンタルヘルスを維持するために方法をまとめました。
マイルールを作成する
先ほどご紹介したWarisの調査結果でわかったことの中には、良好なメンタルヘルスを維持できる人の多くは自分自身で定めた「マイルール」を持っている傾向にあったという報告があります。
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自分自身で定めた「マイルール」を持っている傾向がある
「マイルール」を作成することで手に余る仕事の受注や不規則な生活習慣を未然に予防することができます。
それではどのような「マイルール」を定めるとよいのかをご紹介しましょう。
受注のマイルール
まずは、受注に関する「マイルール」です。
例えば、以前に一度問題のあったクライアントからの依頼は受注しないというルールがあります。
こちらがしっかり仕事をしているのに、急な納期や仕事内容の変更をしてくるクライアントは、同じような問題を引き起こす可能性が高いです。
不安定な収入であるため、依頼を断ることはとても勇気のいることかもしれませんが、一方で、しっかりとあなた自身をリスペクトし、向き合ってくれるクライアントに集中することが確かな信頼関係と安定した収入を得ることに繋がります。
生活習慣のマイルール
Warisの調査結果の1つには「収入の高いフリーランスは、自分の生活習慣を綿密に管理している」という傾向が報告されています。
生活習慣を整えることで、フリーランスの収入の資本である自分自身の身体のメンテナンスをしているのです。
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フリーランスの収入の資本である自分自身の身体のメンテナンスができる
睡眠時間、食生活、運動習慣を十分にとり、飲酒や喫煙などの嗜好を節制することというような「マイルール」を設定することが健康な生活習慣とメンタルヘルスの獲得に繋がりますね。
コミュニティやチームアップに参加する
フリーランス特有の孤独感を解決するためには、コミュニティへの参加やチームアップという手段があります。
オンライン上のコミュニティに参加し、コミュニティ内での情報の共有や仕事の共有をすることができます。
コミュニティやチームアップは自分の仕事の可能性を広げることができます。
チームでの作業を指導・管理する役割につくことができれば、自分のスキルを誰かに共有しながら、一方で自分自身の自由な時間を確保することにもできるかもしれません。
まとめ
フリーランスはとても自由で魅力的な働き方です。
一方で自由な働き方であるゆえに生じてきてしまうメンタルヘルスの問題があることも忘れてはいけません。
メンタルヘルスを維持するた、自分自身でルールを決めてコントロールできることがフリーランスの強みかもしれませんね。
参考文献
・warisプレスリリース
・2019年 フリーランスに関する調査
・Social isolation, loneliness and depression in young adulthood: a behavioural genetic analysis
・The association between diet quality, dietary patterns and depression in adults: a systematic review
・Lifestyle medicine for depression