「制御エンジニアの年収はどれくらい?」
「制御エンジニアの年収は低い?高い?」
「制御エンジニアとして年収1000万円を目指すには?」
このように、制御エンジニアの年収に関する疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。
結論、厚生労働省の職業検索サイト「jobtag」によると、制御エンジニア(システムエンジニア(組込み、IoT))全体の平均年収は557.6万円です。
ただし、スキルや経験、勤務する企業の規模や地域によって年収は大きく異なります。具体的には「都市部の企業」「規模が大きい企業」ほど年収が高い傾向があります。
またスキル・経験を積んだことで年収1000万円を達成している制御エンジニアも少なくありません。
今回の記事では、制御エンジニアの平均年収を「年齢別」「地域別」「企業規模別」「雇用形態別」で紹介するとともに、年収アップに必要なスキル・資格を紹介します。
制御エンジニアとして年収アップを目指すための具体的な情報が得られるので、ぜひ最後までご覧ください。
- 制御エンジニア全体の平均年収は557.6万円
- 「都市部の企業」「規模が大きい企業」ほど年収が高い
- 制御エンジニアは年収1000万円も目指せる
- 制御エンジニアは将来性のある職種(Iot・AIが普及するから)
制御エンジニアの平均年収は557.6万円
厚生労働省の職業検索サイト「jobtag」によると、制御エンジニア(システムエンジニア(組込み、IoT))全体の平均年収は557.6万円となっています。
なお国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、日本の給与所得者の平均年収は458万円です。そのため、制御エンジニア自体の年収は比較的高めと言えます。
平均年収 | |
---|---|
制御エンジニア | 557.6万円 |
給与所得者 | 458万円 |
jobtag「システムエンジニア(組込み、IoT)」
国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査」
ただし557.6万円という年収はあくまで平均であり、スキルや経験、働く企業の規模や業界、地域によって大きく異なることがあります。
次の見出しでは、スキル・レベル別、年齢別、地域別、企業規模別に制御エンジニアの年収の違いを詳しく解説していきます。
制御エンジニアの年収【スキル・レベル別】
厚生労働省の職業検索サイト「jobtag」によると、スキル・レベル別の制御エンジニアの年収は以下の通りとなっています。
レベル | 該当者 | 年収相場 |
---|---|---|
ITSSレベル1〜2 | ・実務未経験者・新入社員 ・一定範囲の作業であれば独力で担当できるレベル | 420.0万円 ~ 620.0万円 |
ITSSレベル3 | 要求された全ての作業を独力で行えるレベル | 450.0万円 ~ 700.0万円 |
ITSSレベル4 | 自らのスキルを活用することによって独力で業務上の課題の発見と解決をリードするレベル | 500.0万円 ~ 780.0万円 |
ITSSレベル5以上 | ハイレベルな高度IT人材の中でも上位に該当する以上のレベル | 600.0万円 ~ 950.0万円 |
制御エンジニアに限ったことではないものの上記表のように年収は、スキルや経験のレベルによって大きく変動します。
実務未経験者・新入社員の年収は400万円ほどですが、スキル・経験が豊富なエンジニアになると年収800万円以上を稼ぐことも珍しくありません。
制御エンジニアの年収【年齢別】
厚生労働省の職業検索サイト「jobtag」によると、制御エンジニアの年収は50代が最も高い結果となっています。
参照元:jobtag「システムエンジニア(組込み、IoT)」
上記画像のように制御エンジニの年収は、年齢によっても大きく異なります。
20代の平均年収は約400万円と比較的低めですが、30代になると500万円台に上昇します。40代以降は600万円以上となり、管理職が多くなる50代になると700万円台まで上がります。
IT業界は実力主義ではあるものの、「年齢が高い=経験値が高く、実力もある」傾向があることから、年齢とともに年収も増加する傾向があるのです。
制御エンジニアの年収【地域別】
制御エンジニア単体の調査ではないものの、IT業界の職種は都市部の方が年収が高い傾向があります。
地域 | 平均年収 |
---|---|
北海道 | 438万円 |
東北 | 448万円 |
関東 | 519万円 |
中部 | 484万円 |
近畿 | 496万円 |
中国 | 450万円 |
四国 | 468万円 |
九州・沖縄 | 456万円 |
東京や大阪などの都市部では、物価が高いことから年収も高い傾向があります。またIT企業の数も多く、人材を採用する目的で高い年収を提示していることからも都市部の年収が高いのです。
一方地方の中小企業では年収が低めになりがちで、400万円台となることもあります。
制御エンジニアの年収【企業規模別】
制御エンジニア単体の調査ではないものの、制御エンジニアの年収は、企業規模によっても異なります。具体的には従業員数が多い企業ほど、年収が高い傾向があります。
実際に厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」では、企業規模別の平均年収は以下の通りとなっています。
企業規模 | 平均年収 |
---|---|
従業員数10~99人 | 約575万円 |
従業員数100~999人 | 約610万円 |
従業員数1000人以上 | 約790万円 |
従業員数が多い大手企業・大企業は、福利厚生や昇給制度が整っているため、中小企業よりも年収が高くなるのです。
しかし、中小企業でも特定の技術分野に特化していたり、急成長しているベンチャー企業では、大手・大企業よりも年収が高いケースもあります。
ITエンジニアの平均年収はいくら?職種別の違いや年収アップするためのポイントを解説
制御エンジニアの年収比較【会社員・フリーランス】
制御エンジニアの年収は、会社員またはフリーランスでも大きく異なります。
ここからは、制御エンジニアの年収を会社員・フリーランスごとで比較します。
雇用形態 | 平均年収 |
---|---|
会社員 | 400〜600万円 |
フリーランス | 500〜700万円 |
下記で詳しく解説します。
会社員の制御エンジニアの年収は400〜600万円
会社員の制御エンジニアの年収は、400〜600万円ほどです。
厚生労働省の職業検索サイト「jobtag」によると、制御エンジニアとした働く人の雇用形態は正社員が最も多いとなっています。
出典元:jobtag「システムエンジニア(組込み、IoT)」
そのため、上記で紹介した平均年収「557.6万円」は、会社員の制御エンジニアの平均年収でもあるのです。そのため、会社員の制御エンジニアの年収相場は400〜600万円ほどになると考えられます。
ただし先述したように、年齢・地域・企業規模によっても異なります。
会社員の制御エンジニアで年収アップを狙う場合、「都市部」+「企業規模が大きい」企業への就職・転職がおすすめです。
フリーランスの制御エンジニアの年収は600〜800万円
フリーランスの制御エンジニアの年収は、600万円〜800万円ほどが相場です。
実際に当サイトが運営するITエンジニア向けのエージェント「フォスターフリーランス」で掲載されている制御エンジニアの月単価は約50〜70万円ほどが多いです。
たとえば、以下はフォスターフリーランスで掲載されている案件の1つです。(2024年9月時点)
フリーランスは案件単価が高いうえに、仕事量を自分で決められることから会社員よりも年収が高くなる傾向があります。
実際にフリーランス協会「フリーランス白書2019」によると、IT・エンジニア系職種のフリーランスは年収1000万円以上稼ぐ人も多くいることがわかります。
出典元:フリーランス協会「フリーランス白書2019」
会社員に比べると安定しにくい場合があるものの、スキルが高い制御エンジニアの方はフリーランスを目指した方が年収アップが期待できると言えます。
フリーランスプログラマーの年収相場は500万円〜700万円!収入アップのコツも紹介
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制御エンジニアの年収を上げるために必要なスキル
制御エンジニアとして年収を上げるためには、いくつかスキルを身に付ける必要があります。
ここからは、制御エンジニアの年収を上げるために必要なスキルを紹介します。
年収アップを目指す制御エンジニアの方は、以下のスキルを意識して習得しましょう。
プログラミングスキル
制御エンジニアの年収を上げるためには、プログラミングスキルの向上が必要不可欠です。
プログラミングスキルが無いと、簡単な案件にしか参画できない可能性があります。簡単な案件のみだとスキルが向上しにくく、結果的に収入アップも狙えないのです。
特にC言語、Java、C++、アセンブリなどの言語は、制御システムや組み込みシステム開発でよく使用されるため、習得しておきましょう。
- C言語
- Java
- C++
- アセンブリなど
また、WindowsやLinux、TRONなどのOSに関する知識も習得しておくと、システム開発において有利です。OSの知識があることで、制御対象のシステム環境に合わせた最適なソリューションを提案でき、プロジェクトの成功率が上がり、評価や年収の向上にもつながるでしょう。
機械関連の知識
制御エンジニアの年収を上げるためには、機械関連の知識も必要不可欠です。
制御エンジニアは機械の動作を制御する役割があるため、機械工学の基礎知識が求められます。モーターやセンサー、アクチュエーターなど、制御対象となる機器の動作原理を理解していることが、効果的な制御システムの設計に役立つため、しっかり学んでおきましょう。
また、機械的な知識があることで、機械設計者や他のエンジニアとスムーズに連携でき、プロジェクト全体を円滑に進めることが可能です。
マネジメントスキル
制御エンジニアの年収を上げるためには、マネジメントスキルも必要不可欠です。一般社員よりもリーダーや、管理職の方が年収が高い傾向があるからです。
現場での技術力だけでなく、チームをまとめるリーダーシップやプロジェクト全体を管理するマネジメントスキルがあることで、一般社員よりも高い役職に就くチャンスが増えます。
マネジメントスキルを持つエンジニアは、プロジェクトの進行を管理し、予算や納期を守る責任を負います。プロジェクト全体の成功に大きく貢献するため、企業からの評価が上がり、年収アップに繋がるのです。
またマネジメント経験があると転職市場でも評価されやすく、年収もアップしやすいことから、マネジメントスキルは必須と言えます。
- 戦略を策定する力
- 人材を育成する力
- 意思決定をする力
- 目標を設定する力
- メンバーの進捗を管理する力など
マネジメント経験とは?マネジメントに該当する経験や職務経歴書への例文まで解説
論理的思考力
制御エンジニアの年収を上げるためには、論理的思考力も必要不可欠です。制御システムの設計や開発において、複雑な問題を論理的に整理し、効率的に解決する能力が求められるからです。
具体的には、システムの不具合やトラブルに直面した際に、原因を正確に特定し、適切な対策を講じるためには論理的思考が必要です。また、制御システムは他のシステムやハードウェアと密接に連携しているため、各要素の動作や相互作用を理解し、それらを論理的に組み合わせて最適な制御を行うことが求められます。
-
思考力を身につけることで、プロジェクトの進行をスムーズにし、効率的に成果を出すことができるため、企業からの評価も高まり、結果的に年収アップにつながる
さらに、論理的なアプローチを持つエンジニアは、クライアントやチームメンバーとのコミュニケーションにおいても、課題をわかりやすく説明できるため、信頼を得やすくなり、リーダーとしてのキャリアも目指せます。
コミュニケーションスキル
制御エンジニアの年収を上げるためには、コミュニケーションスキルも必要不可欠です。制御システムの開発は一人で完結するものではなく、チームや他部門、さらにはクライアントとの連携が必要だからです。
具体的には、プロジェクトを進める中で、設計方針や技術的な問題点を他のエンジニアやプロジェクトマネージャーに正確に伝える必要があります。専門的な技術をわかりやすく説明する能力がなければ、チーム全体の理解が不足し、誤解や手戻りが生じ、プロジェクトの進行に遅れが出ることもあるからです。
コミュニケーションスキルが高いエンジニアは、管理職やプロジェクトリーダーとしての役割を担う機会も増え、結果的に年収アップにつながります。
なお、制御エンジニアとして必要なコミュニケーションとは「正しく伝える」「正しく理解する」です。
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制御エンジニアとして必要なコミュニケーションとは「正しく伝える」「正しく理解する」こと
制御エンジニアの年収アップにおすすめの資格
制御エンジニアの年収アップに効果的な資格は、いくつかあるものの、特に以下の3つがおすすめです。
下記で詳しく解説します。
ETEC(組込み技術者試験制度)
ETEC(組込み技術者試験制度)は、一般社団法人組込みシステム技術協会が運営する組み込みエンジニア向けの資格です。自動車や電化製品など、コンピュータで動作する製品のソフトウェアを設計・開発するエンジニア向けに設けられています。
ETEC(組込み技術者試験制度)は、単なる合否判定だけではなく、受験者のスキルアップを促進する目的も持っている点が特徴的です。
試験を通じて得たスコアは一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)から証明書として発行され、組込みシステムに関する技術力を証明する資料としても活用できます。
受験資格 | クラス2:誰でも受験可 クラス1: ・クラス2で500点以上 ・会場受付にてスコアレポートを提出 |
受験日 | 通年 |
受験費 | クラス2:1万5,000円(税別) クラス1:2万円(税別) |
エンベデッドシステムスペシャリスト試験
エンベデッドシステムスペシャリスト試験は、IPA独立行政法人情報処理推進機構が運営する国家資格です。
組み込みシステムのハードウェア、ソフトウェア、ネットワークに関する広範な知識に加え、システム設計、開発、評価、プロジェクト管理などの実践的な能力が問われます。
難易度は高めであるものの、取得できれば技術的なスペシャリスト出ることが証明できます。
企業から高く評価され、管理職やリーダーとして活躍するチャンスも広がり、年収の増加が期待できる資格です。
受験資格 | 誰でも受験可 |
受験日 | 10月(第2日曜日) |
受験費 | 7,500円 |
応用情報技術者試験(AP)
応用情報技術者試験(AP)は制御エンジニア向けの資格ではないものの、IT業界で働く上では取得しておきたい資格です。
情報技術に関する基礎的な知識から応用まで幅広いスキルを証明するもので、プロジェクト管理やシステム設計に必要な能力を身につけられます。
特に、リーダーやマネジメント業務に携わることで、年収アップを目指す制御エンジニアにおすすめの資格です。
受験資格 | 誰でも受験可 |
受験日 | 通年 |
受験費 | ・4月(第3日曜日) ・10月(第2日曜日) |
制御エンジニアは将来性がある職種
制御エンジニアは、将来性がある職種です。
様々な製品や産業が高度な制御技術を必要としており、特に自動車産業や家電製品、ロボティクスの分野での需要が急速に拡大しているからです。
特に、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などの技術が普及し、これらの技術を支える組み込みシステムや制御システムの需要が高まっているため、制御エンジニアの市場価値は今後さらに上昇すると考えられます。
制御エンジニアに将来性がある理由はIoT・AIの需要が高まっているから
制御エンジニアは将来性がある職種と言える1番の理由は、「IoT・AIの需要が高まっているから」という点です。
実際に総務省「令和4年度版常用通信白書」の下記画像「世界のIoTデバイス数の推移及び予測」では、Iot技術を使用した製品需要が拡大していることがわかります。
出典元:総務省「令和4年度版常用通信白書」
上記画像からもわかるようにIoT(Internet of Things)の普及は、制御エンジニアの将来性を強く後押ししていると言えます。
IoTでは、様々なデバイスや家電、車両などがインターネットに接続され、リアルタイムでデータをやり取りしながら制御されます。このようなシステムを設計・管理するには、高度な制御技術が必要なのです。
たとえば、スマートホームや自動運転車などの分野では、IoT技術の活用が進み、それに伴い制御エンジニアの需要も急増しています。
また、AIを活用した製品やシステムでも、リアルタイムでの精度の高い制御が必要なため、制御エンジニアのスキルが不可欠です。
IoTとAIの成長とともに、制御エンジニアの需要は今後も高まっていくでしょう。
制御エンジニアと年収に関するよくある質問
ここからは、制御エンジニアと年収に関するよくある質問を紹介します。
制御エンジニアの年収は低い?
日本の平均年収と比較すると、制御エンジニアの年収は高いです。また、他のエンジニア職と比較しても低くはありません。
制御エンジニアの平均年収は約557.6万円であり、これはITエンジニア全体の平均年収と同等、またはそれ以上の水準です。
制御エンジニアで年収1000万円は目指せる?
制御エンジニアで年収1000万円は目指せます。
特に大手・大企業での管理職になることで、年収1000万円は現実的です。
またフリーランス独立し、高単価のプロジェクトを受注することで1000万円を超える年収を達成しているエンジニアも少なくありません。
未経験から制御エンジニアは目指せる?
未経験からでも制御エンジニアを目指すことは可能です。
とはいえ、完全未経験だと就職・転職は厳しい可能性があります。そのため、未経験で就職・転職する場合、ある程度のプログラミングスキルは習得しておきましょう。
- C言語
- Java
- C++
- アセンブリなど
制御エンジニアで年収アップを目指そう!
制御エンジニアとして年収アップを目指すためには、スキルの向上とキャリアパスの明確化が重要です。
プログラミングスキルや機械関連の知識、コミュニケーションスキルなどの技術的なスキルだけでなく、マネジメントスキルや論理的思考力も欠かせません。また、ETECやエンベデッドシステムスペシャリスト試験といった資格取得も、キャリアアップや年収向上に大きく関わります。
なお先述したように、IoTやAI技術が今後ますます普及することにより、制御エンジニアの需要は高まり続けると予想できます。そのためIoTやAI分野に対応できるスキルを身につけることで、さらなる年収アップを目指しましょう。